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061\ありのままを受け入れてみる/

執筆者の写真: MAKOTO TADOKOROMAKOTO TADOKORO

世の中で完全なものはものはないし、人間も不完全だからこそ美しく尊いノダ。


久しぶりに江之浦の凛門に伺う機会があり、デザインと制作監督を行ったラウンジ家具達に会いにいった。


およそ一年前に納品したときと比べて、その空間にどっしりと腰を下ろして居座っており、様になっているように思えた。

お嫁に行った娘に会いに行く親の気持ちに似ているのだろう。この落ち着いた雰囲気はどこからくるのか?といろいろとじろじろと気になって見てしまう。

そうすると、いくつか傷や摩耗した跡などが見られ、コレかと納得。

また本小松石の天板に埋め込まれた鉄のL字のアングルは切断面が露出している為に錆びもいい感じについてきた。

このあたりも凛門のオーナーにも事前に説明をしていて、錆がきになるようなら錆取りしてくださいと言っているがいい風合いなのだろう、そのままにしてくれている。


家具は使われてこそ本来の輝きを放つと思っている。そこに刻まれた傷や経年変化でうまれた色の変化などは味わいや歴史となって蓄積されるのだ。

ラテン語で言えば「Patina 」であり、物質が色あせ、摩耗し、錆びるなどの経年変化した様子であり、欧米でも良い意味で捉えられている。

また日本では侘び寂びと表現されることもあり、「寂び」は時間の経過によって表れる美しさを指し、不完全なものや劣化、欠けるものを否定的に捉えず、むしろ自然や時間の経過による変化に美しさを見出し、生まれた静寂を受け入れるという美学である。現代では見せかけのフェイク材やケミカルな建材も多く、メンテナンスフリーという良いようにだけ捉えた言葉に消費者が踊らされているが、侘び寂びの心が日本人の心にも刻まれていると信じたい。と、娘(家具)を眺めて思ったノダ。


アーキディレクター MAKO 田所 真の建築家ブログ

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